相続手続きは、特に資格がいる作業ではないため、自分で手続きを行う方も一定数いらっしゃいます。
しかし、その一方、途中で挫折して、専門家に依頼される方も数多くいらっしゃいます。
実際、当事務所でも「自分でやってみたけど面倒だし、むずかしくてダメだった」と相談に来られる方が後を絶ちません。
私はこれまで100件以上の相続案件を担当してきましたが、その経験を元に専門家に依頼した方がよいタイプを紹介したいと思います。
(1)相続人が複数いる人
(2)時間と手間がかけられない人
(3)取引金融機関が複数ある人
(4)相続税制など、法知識を調べるのが苦手な人
(5)できるだけ節約して相続したい人
一つずつ、具体的に解説していきます。
相続財産を受け取る相続人が自分以外にもいる人は、専門家への依頼をお勧めします。
自分1人であれば、財産をそのまま自分が相続すればいいので、遺産分割協議や遺産分割協議書作成の手間がかかりません。
しかし、他にも相続人がいる場合は、上記の手間がかかる上、場合によって相続人同士で揉めてトラブルになる可能性も出てきます。
お金が絡むことですし、感情的になりやすく、今後の付き合いに影響が出ることもあります。
専門家に依頼すれば、間に立って調整してくれますし、実績豊富な専門家なら、揉めそうな時の対応も心得ています。
そのため、相続人同士で揉めたりすることが少なく、スムーズに手続きが進むのです。
相続人が複数いると、手間や時間もかかり、トラブルにもなりやすいので、専門家への相談をお勧めいたします。
時間や手間をあまりかけらない人は専門家に任せてしまった方が良いです。
相続は手続き業務ですが、やらなければならないことが多く、経験のない方が行うと、かなりの手間と時間がかかります。
まず初めに一通り、相続手続きの方法を学ばなくてはいけません。
たいていの方にとっては、知らないことばかりですし、相続は1人1人ケースが違うため、自分に合った相続方法を調べるのは大変です。
次に、その手続きを行うにしても、
など、様々な作業を行わなければなりません。
初めてですと、書類の不備や記入ミスなどで、何度もやり直しをすることにもなります。
実際、自分で手続きして、ミスの度に何度も法務局に行かれる方も少なくありません。
そのため、あまり時間や手間をかけられない人は、初めから専門家に依頼されることをお勧めします。
相続では金融機関の名義変更も行いますが、その数が複数ある場合は、専門家に任せた方が早いです。
金融機関の名義を変える場合、取引銀行が複数あれば、その分だけ手続きが必要になります。
必要書類を揃えた上で、金融機関に行き、その金融機関所定の手続き用紙に記入し、名義変更手続きを行う。
この作業を1行1行、行っていかなければなりません。
1つの金融機関だけなら、そこまで手間ではないかもしれませんが、何行もあると、かなりの手間がかかります。
上述したとおり、もし手続きに不備があれば、やり直したり、また出直したりする必要も出てきます。
そのため、名義変更を行う金融機関が複数ある場合も、専門家への依頼をお勧めしております。
相続で必要になる法知識を自分で調べるのが苦手な人も、専門家に依頼された方がいいでしょう。
特に相続税などは、相続の仕方1つで大きく金額が変わります。
相続税について知らないがために、無駄な税金を払う可能性があります。
実際、相続税対策をすることによって数百万円~数千万円と節約できるケースも珍しくありません。
また、相続税が発生しているのに申告しないと、申告漏れになります。
最悪の場合、税務署から脱税などと判断される可能性もあります。
相続税法は平成27年に税制が改正され、ケースによっては3600万円から相続税が発生するようになりました。
つまり、お金持ちの家でなくても、土地・家などの不動産を相続すると、簡単に相続税がかかるようになったのです。
そのため相続が発生したら、相続税についても学び、どのように対策したらいいか分かっておくことが重要です。
もし、このようなことが苦手な場合は、専門家にお任せした方が簡単ですし、確実です。
できるだけお金をかけずに節約して相続手続きをしたいと考えているなら、専門家への相談をお勧めします。
確かに依頼する料金はかかりますが、相続は大きなお金が動く手続きです。
そのため、専門家に対策してもらうことで、依頼料金以上の節約になることも珍しくないのです。
専門家に依頼することで、二次相続対策などを見越して登記費用を抑えたり、前述の相続税も節税できたりします。
また、手続きのために仕事を休む必要もなどもなく、そのせいで収入が減ったりすることもありません。
いちがいには言えませんが、結果的に自分で手続きするよりもお得に相続できることが多くあります。
自分の場合はどうなのか気になるようでしたら、一度専門家に相談し、見積りを取ってもらうことをお勧めいたします。
改めて整理すると、専門家に依頼された方がよいのはこの5つのタイプです。
(1)相続人が複数いる人
(2)時間と手間がかけられない人
(3)取引金融機関が複数ある人
(4)相続税制など、法知識を調べるのが苦手な人
(5)できるだけ節約して相続したい人
上記の内1つでも当てはまるようでたら、まずは経験豊富で専門家に詳しいに相談されることをお勧めいたします。